毎週、水曜日。
2013年某日。
当時36歳の冬。
私は前々から興味があるゲイバーに行ってみたくなった。
ネットで調べて、行くお店も決めた。
自宅を出る前から緊張していた。
お店がある駅に着きソワソワ。
お店までの道を自宅で何度も確認したのでソワソワしている間にお店の前に到着。
入る決心が固まるまで近辺を歩き回った。
「ここら辺に居る人はみんな…お仲間さん?」
そんな目で歩いていたせいか、一人の男の人と目が合った。
「めっちゃ見てる…ちょっと怖い」
来てよかったのか、一瞬迷う。
公園のベンチに座りお店に行くか悩む。
一時間程、悩んだ末に覚悟を決めた。
ドキドキしながら店のドアを開けた先に居たのはマスターのTさんと数人のお客さん。
入った途端、店内の人達の視線が集まる。
T「いらっ…しゃいませ~?初めてかな?」
私「あ、はひっ…いいですか?」
T「どうぞ好きなところに座ってね」
私「はいっ」
T「何にしましょ?」
私「ビールありますか?」
T「うん、麒麟かアサヒ」
私「ではっ麒麟でっ」
T「は~~~い、おしぼりとビールお待たせ」
私「(一気飲み)」
T「(*゚Д゚*)」
私「あっ」
T「こういう店初めて?」
私「あ、はい…」
T「緊張してるんだ」
私「してます、物凄く」
T「一気飲みしちゃってるもんね(笑)」
私「(〃ノωノ)」
T「あなた男が好きなの?そんな雰囲気無いけど」
私「はい…」
T「名前は?何歳?」
T「どこ住んでるの?」
T「彼氏いるの?」
T「どんな人がタイプなの?」
っとまぁ、マスターには直ぐに素人だとわかって世間話をしながら緊張を解してくれた。
そのお店は街のゲイバーの登竜門的なお店だった。
マスターのTさんがお客さんの好みにを聞いて、その人好みの人が集まるお店を紹介してくれる。
私は当時、自分でも自分の「好み」が分からなかった為にお店は紹介されなかった。
しかし…驚いた事に人が次から次へと入ってくる。
こんなに居るもんなの?と衝撃を受けた。
私が入ってから2時間ほどで満席になったので、その日は帰った。
「またおいでよ」
嬉しくて、楽しくて、また来ようと思えた。
翌週の同じ曜日にまた行った。
その次も同じ曜日に。
「毎週、水曜日に君居るね」
「あんた水曜日の子ね!名前は?」
常連さん達は覚えてくれるようになった。
顔見知りは増えていった。
この世界の飲み方やタブーなどを色々と教えてくれる人もいて、勉強になった。
通いだして約1ヵ月経つと席の定位置もできた。
なんと。
端っこ。
そう壁の隣。
「ここがいい、この席落ち着きます」
顔見知りや友達が増えて、話すのは楽しいけれど…大人数で話すのは苦手なままだった。
隣が壁の席なら片方にしか席が無いため、座るお客さんは一人。
ゆっくり話せる。
話せなくても目の前がマスターの定位置。
ウブウブな私を助けてくれる完璧なトライアングル。
( ゚∀゚)ょっしゃぁ( ゚∀゚)
そんな事を考えながらお酒を飲んでいた時
店のドアが開いた。